【2026年10月】札幌の飲食店市況まとめ|最低賃金1,131円のなかで、居抜き出店をどう考えるか
キタデン居抜屋 編集部|2026年10月9日公開(数値は2026年10月8日時点で確認できた公表データ)
食材費・光熱費・人件費の上昇が続くなか、飲食店の経営環境は厳しさを増しています。一方で、札幌の観光客数と観光消費額は過去最高を更新しました。「札幌で店を出したいが、いまの市況で大丈夫だろうか」と迷っている方に向けて、公的機関・調査会社の最新データを整理し、居抜き物件で出店を検討する際の考え方をまとめます。
◎ポイント
- 全国の外食売上は前年を上回る状態が続いているが、居酒屋は客単価の伸びが弱く、店舗数も前年を下回っている
- 札幌の観光客数・観光消費額は過去最高。ただし夏と冬で約2倍の差があり、小規模店まで恩恵が届くとは限らない
- 2026年10月1日から北海道の最低賃金が1,131円に上がり、人件費の見積もりの見直しが必要
- 居抜きは初期投資を抑えやすい選択肢だが、設備・契約・前店の閉店理由の確認が欠かせない
1. 全国の外食市場:売上は伸びているが、業態で明暗が分かれる
日本フードサービス協会の外食産業市場動向調査(2026年7月度)では、外食全体の売上は前年同月比106.8%でした。台風の影響を受けた6月から一転して天候が安定し、客数が回復したことが背景です。外食全体の売上は、2021年12月以来、前年を上回る状態が続いています。
ただし、業態別に見ると状況は一様ではありません。
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2026年7月(前年同月比) |
売上高 |
客数 |
客単価 |
店舗数 |
|---|---|---|---|---|
|
外食全体 |
106.8% |
103.2% |
103.5% |
101.1% |
|
ファーストフード |
107.5% |
103.9% |
103.4% |
101.9% |
|
ファミリーレストラン |
105.7% |
102.0% |
103.6% |
99.7% |
|
パブ・居酒屋 |
105.2% |
103.7% |
101.5% |
99.5% |
|
ディナーレストラン |
109.5% |
105.4% |
103.9% |
101.8% |
|
喫茶 |
104.4% |
101.0% |
103.4% |
100.8% |
注目したいのは、居酒屋の客単価が前年比101.5%にとどまり、外食全体の103.5%を下回っている点です。食材や人件費が上がるなかでも、価格に転嫁しきれていない店が多いことがうかがえます。また、居酒屋は6月に売上が前年比99.9%と前年割れになるなど、天候や曜日の並びで振れやすい傾向もあります。協会自身も、お得なキャンペーンなど「値頃感」への訴求の有無が集客を左右していると指摘しています。
なお、この調査は協会会員企業を対象としたものです。個人経営の店舗の実感とは差が出ることがある点には留意してください。
2. 札幌・北海道の環境:観光は好調、人件費は上昇
観光は過去最高。ただし季節差と「店ごとの差」に注意
札幌市の発表によると、2025年度の来札観光客数は約1,604万7千人(前年度比5.2%増)で過去最高となりました。総観光消費額も約7,617億円(同9.7%増)と過去最高で、外国人宿泊者数は約248万8千人(同14.1%増)と、コロナ禍前の2019年度(約242万3千人)を上回っています。2026年8月の市内主要宿泊施設(約50施設)の客室稼働率も82.9%と、高い水準でした。
一方で札幌市は、繁忙期の夏と閑散期の冬で観光客数に約2倍の差があることを課題として挙げています。冬の売上をどう支えるかは、札幌で出店する際の重要な論点です。また、観光需要が好調でも、その恩恵が小規模な飲食店まで均等に届くとは限りません。
すすきの周辺では大型施設が来客を集めている
すすきの交差点近くの商業施設「ココノススキノ」は、運営する東急不動産によると、2025年2月〜2026年1月の来場者数が約1,265万人(見込み、前年同期比12%増)でした。昼から夜まで人が動くエリアになりつつあり、時間帯を意識した業態設計がしやすくなっています。
10月1日から、北海道の最低賃金は1,131円に
北海道の最低賃金は、2026年10月1日から時給1,075円から1,131円(56円増、約5.2%増)へ改定されました。道内で初めて1,100円を超える水準です。
人件費への影響を試算してみます(賃金のみ、社会保険料などは含まない)。
- アルバイト1名が月150時間働く場合:150時間 × 56円 = 月8,400円の増加
- 10名なら月8万4,000円、年間で約100万円の増加
固定費の見積もりは、新しい最低賃金を前提に組み直すことが大切です。
3. 居抜き出店の考え方:メリットと注意点
コストが上がり続け、価格転嫁も簡単ではないいま、出店時にどれだけ固定費と初期投資を抑えられるかは、開業後の持久力に直結します。その点で、居抜き物件には次のような利点があります。
- 初期投資を抑えやすい:前店の内装・厨房設備を活用でき、スケルトンから造るより工事費を圧縮できる可能性がある
- 開業までが短い:工期が短くなる分、家賃が発生してから売上が立つまでの空白期間を減らせる
- 立地の集客力を見極めやすい:前店の営業状況や周辺の人の流れを、実際に見て判断できる
一方で、居抜きなら必ず安く済む、必ず成功するというわけではありません。設備の老朽化、リース契約の残り、前店が閉店した理由を確認しないまま契約すると、かえって負担が増えることがあります。
4. 札幌で居抜き物件を見るときのチェックリスト
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確認項目 |
見るポイント |
|---|---|
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前店の閉店理由 |
立地・客層の問題か、運営(価格・人手・資金繰り)の問題か。可能な範囲で周辺の同業の状況も確認する |
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設備の状態 |
厨房機器の状況、リース品の有無と残債、排気ダクト・グリース阻集器・ガス容量など |
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寒冷地ならではの点 |
暖房能力、冬季の給排水の凍結対策、入口まわりの雪対策と客の動線 |
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造作譲渡料 |
物件取得を優先する場合は、一概に内装・機器の状態だけで高い安いの判断では無く、総投資額と回収目安など総合的な判断が必要 |
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契約条件 |
賃貸借契約の承継か新規か、原状回復(スケルトン返し)の範囲、業態や営業時間の制限 |
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人件費・損益 |
最低賃金1,131円を前提にした人件費で、損益分岐点の売上を試算する |
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季節変動 |
冬季や閑散期を見込んだ運転資金を確保できているか |
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エリアと業態の相性 |
すすきの、大通・札幌駅周辺、住宅街など、客層・営業時間と業態が合っているか |
5. まとめ:数字を見て、小さく始めて確かめる
札幌は観光需要に支えられた追い風がある一方、人件費・食材費の上昇という向かい風も強い市場です。大切なのは、好調か不調かを一括りに判断するのではなく、自分の業態・エリア・資金計画に当てはめて見ることです。
固定費と初期投資を抑えて始め、実際の売上を見ながら改善していく。居抜き出店は、そのための現実的な選択肢のひとつといえます。
キタデン居抜屋では、ご希望の業態・予算・エリアをうかがったうえで、札幌での居抜き物件をご紹介します。物件選びに迷ったら、お気軽にお問合せフォームからご相談ください。
出典・注記
- 一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 2026年7月度 結果報告」(2026年8月25日)
- 札幌市「2025年度札幌の観光動向に関する調査結果について」(2026年8月21日)
- 札幌市宿泊データ月報(2026年8月)
- 北海道新聞「ココノススキノ本格開業2年」(東急不動産の発表に基づく報道)
- 北海道労働局「令和8年度 北海道最低賃金改定」(効力発生:2026年10月1日)
※本記事は公表データの整理であり、特定の物件・業態での成功を保証するものではありません。出店の判断にあたっては、最新の情報をご確認ください。